気ぜわしい年の瀬に、ほっこり咲く人情の花~『第7回 入船亭扇治存在証明落語会』ご案内~

あれだけ暑いあついと言っていたのが嘘のよう、気づけば年の瀬がすぐそこに。この記事を書いているのが2025年11月21日、間もなくカレンダーは12月に突入。

師走です。
人から師を敬われる高僧すらも、諸事に追われつい足早になる。それくらい世間が気ぜわしくなる時を迎えようというのに、私の方はどうでしょうか。

12月、ヒマ。
五木寛之の小説は『皇帝のいない八月』、こちらは『仕事がほとんどない12月』。
徳を積まれたお坊さんと比べては失礼にあたりますが、私も噺家の真打なのでこの業界では弟子がいなくても「師匠」と呼ばれる立場。だったら師らしく12月はちょっとくらい忙しそうにしてみたい・走ってみたいのですが…。

走りようがないんですよー、仕事がそんなにないんだから。
あーぁ、昔は良かったなぁ。
こんな弱小噺家でも、ご贔屓くださる方や落語会に呼んでくれる人それなりの数いらっしゃいました。バブルの頃の12月なんて連日方々の忘年会に呼ばれて、小噺や謎かけをちょいちょいとやるだけで結構なご祝儀・車代にありつけたものです。

そんな栄華のころ、今やうたかたの夢。
いと儚きや、人の一生。
起きてても腹減るだけだから、今日も早めに呑んで寝ちゃうか。
なんてこと言ってたら、黒猫こまちに、怒られちゃいました。
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そうだね、ヒマだと愚痴こぼしたからって空から仕事やお金が降ってくるわけじゃない。
落ち込んでる私を、叱咤激励してくれてありがとう。師・九代目扇橋が生前よく言っていた「芸人は、ヒマな時ほど稽古」の初心に返り、また勉強会で自分のモチベーションを高め芸を磨こう。
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そんなわけで開催する、知り合いの役者さん稽古場での数えて7回目の蔵出しの会。
〜第7回『入船亭扇治存在証明落語会』〜
☆日時:12月5日(金)18時30分〜19時45分
☆入船亭扇治、2席相務め申し候。
 演目:『棒鱈』『火事息子』
 会冒頭に愛猫こまちの「お楽しみコーナー」あり!
☆会場:ヴォイス&アクターズ道場 豊島区池袋駅1-36-7アルテール池袋309(池袋駅東口より徒歩8分)
☆料金:1500円均一(できたら事前にお申し込みを)
☆お申込み先:senji1365@gmail.com
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今回二席目に申し上げる『火事息子』、うちの師匠が三代目三木助の形を基本に先代正蔵の味わいをブレンドした独自の演じ方で教わった噺を、十数年ぶりで埃を払ってご披露いたします。

~落語『火事息子』あらすじ~
神田三河町の伊勢屋という大きな質屋の跡取り息子徳之助は、大の火事好き。町火消しになりたいと言っても当然父親から許されるわけもなく、勘当されて臥煙(がえん・非公認の火消し)に身を落して今は行き方知れず。

ある晩、伊勢屋の町内で火の手が上がる。一時は火勢が危うかったが風向きが変わりとりあえずは類焼の危険は避けられると、親切な伊勢屋は若い奉公人たちを風下にあたる近所の知り合いの商家へ手伝いにやる。
その後で店の前を通りがかった人が「人様から物を預かる商売なのに、このうちでは質草を収めてある蔵にちゃんと日の用心ができていない」と言っているのを聞いた旦那は、急いで蔵の目塗りをすることに。

しかし若い者はほかへ加勢にやってしまい、店に残っている奉公人は年嵩の番頭と定吉という小僧だけ。旦那に言われ蔵に立てかけた梯子をおっかなびっくり上っていった番頭だが、素人の悲しさでなかなかうまく目塗りができない。そのうちまた風向きが変わり、伊勢屋の蔵の方へ火の粉がバラバラ飛んでくる。
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皆が右往左往している時、一人の臥煙が三軒先の家の屋根から屋根を猿らのようにつたって蔵の上まで飛んできた…。

火事の夜の慌ただしさ・親子の情愛がきめ細かく描きこまれた冬の名作。
今稽古のテープを聴き返し噺をさらっていると、目の前に師匠が現れあらためて「お前は物覚えが悪いからなー」と教え直してもらっているような気持ちに。
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自分でも好きな演目の素敵な味わいを少しでもお客様にお伝えできるよう精進して臨みます。皆様のご来場、心よりお待ち申し上げております。
こまちからも、
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よろしくお願いしますニャ~。
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入船亭扇治・記


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