ヴィクトリア朝時代のロンドンと、現代日本を舞台に。巧緻に作られた暗号ミステリ2編ご紹介。
波を蹴立てて、宝物が眠る島へと向かう海賊船。


舳先で宝の地図を、余念なく眺めるキャプテンこまち。
この地図は、難しい「暗号」で書かれているのです。
この地図は、難しい「暗号」で書かれているのです。
寛ぐ猫が、形作る文字
今回暗号を取り上げようと思ったきっかけは、こちらの画像。
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ダイニングテーブル下のホットカーペットで、寛ぐこまち。


肉球、全開。
その寝姿を撮影していると、「あ、これ文字みたいにも見えるな」気づきました。


投げ出した脚が形作る、「猫文字」。
さらにここから、シャーロック・ホームズの短編『踊る人形』へと。


連想がつながっていくのでした。
不滅の名探偵が挑む、
不気味な暗号
不気味な暗号
この暗号の原理と解法は、エドガー・アラン・ポーの先行作品と同じもの。
しかしそこはさすが、今なおファンの胸に生き続けるベーカー街221Bの名探偵を産み出したサー・アーサー・コナン・ドイル。
どこかユーモラスな人形の絵が伝える、不気味なメッセージ。


そのギャップから、独特の雰囲気を醸し出す短編に仕上げています。
格調高い延原謙翻訳の新潮文庫版のほか、さまざまな出版社で版を重ねている不滅のホームズ譚。
陽気のいいこの時期、柔らかい陽が差す窓辺で本を広げ。
ひと時、ヴィクトリア朝のイギリスに遊んでみられてはいかがでしょう。
マジシャン作家の、
巧緻な手作り暗号
巧緻な手作り暗号
暗号を扱った日本の作品として、泡坂妻夫先生の『亜愛一郎シリーズ』からこの作品をご紹介。
まるで高級な絹織物のように、巧緻に手作業で作られた『掘り出された童話』の超暗号。
『踊る人形』とは違い、こちらは日本語ならではの特徴を活かし工夫に工夫を重ねた文章。
「先生、今日はどれだけ書けましたか」
編集者から原稿の進み具合を聞かれ、黙って指を3本出す泡坂氏。
編集者から原稿の進み具合を聞かれ、黙って指を3本出す泡坂氏。
(あの遅筆な人が、午前中だけで原稿用紙3枚!凄いハイペースだなぁ。)
編集者は感心しましたが、実は「3行」。
編集者は感心しましたが、実は「3行」。
自身のエッセイで、泡坂氏はこう振り返っています。
泡坂氏はまた、プロはだしのマジシャンでもありました。
本名の「厚川正男」名義で、多くのオリジナルマジックを考案。
その名を冠した、マジックの賞も設けられているほど。
本名の「厚川正男」名義で、多くのオリジナルマジックを考案。
その名を冠した、マジックの賞も設けられているほど。
ミステリだけでなく普通小説に近い作品も、隅々まで「だましのテクニック」が施されています。
まさにすべてが、
手作りの一品もの。
手作りの一品もの。
もともとの本業は、着物に紋を入れる「紋章上絵師」。
江戸っ子で、落語も大好きだった泡坂妻夫氏。
江戸っ子で、落語も大好きだった泡坂妻夫氏。
「トリッキー」「粋」「飄々としたユーモア」といった要素が散りばめられ、どの作品にも”気持ちよく騙される”。
今回取り上げた『掘り出された童話』が収録された『亜愛一郎の狼狽』、現在は創元推理文庫に入っています。
「亜愛一郎(あ・あいいちろう)」は、シリーズを通しての探偵役の名。
職業別電話帳の「探偵欄」で、一番最初に掲載されるように。
というのが、命名の由来。
このネーミングにも、「泡坂センス」が感じられますね。
というのが、命名の由来。
このネーミングにも、「泡坂センス」が感じられますね。
共同執筆猫から、
暗号の挑戦状
暗号の挑戦状
この記事書くのを、脇で手伝って(じゃれて邪魔して)いた黒猫こまち。
暗号のことが、いたく気に入ったようです。
暗号のことが、いたく気に入ったようです。
こんな文章を考えて、
読者の皆様に挑戦!

読者の皆様に挑戦!


暗号の原理は、「キーポイント方式」なんて呼ばれることもある手法。
さあ、あなたは黒猫怪盗からの挑戦。
何分で、
解けるでしょうか?
何分で、
解けるでしょうか?

お開きまで
お付き合いいただきまして、
まことにありがとうございます。
ぜひまた、ご訪問くださいませ。
入船亭扇治拝
お付き合いいただきまして、
まことにありがとうございます。
ぜひまた、ご訪問くださいませ。
入船亭扇治拝
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